「わかってるのに書けない!」を解決!なぜ答案が伝わるように書けないのか?を深く考察。
- 更新日:
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2025.10.8
お知らせ
「うちの子、テストでは点数が取れないけど、口で説明させるとちゃんとわかっているんです。」 「どうして数学の途中式を書いてくれないのかしら?」 「社会の記述問題で、資料をまったく使わないのはなぜ?」
お子様の学習状況を見ていて、このように感じたことはありませんか? お子様は「わかっているつもり」ではなく、本当に「わかっている」のに、なぜか答案にそれが反映されず、得点に結びつかない。 その背景には、「正しく説明しなきゃ」という意識よりも、「自分なりに表現すれば伝わる」という無意識の思い込みが隠れているかもしれません。今回は、この「自分なりの表現」という問題について、その原因と解決策を教育心理学と行動経済学の観点から掘り下げていきます。 保護者の皆様がご家庭でお子様をサポートするためのヒントもご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
★なぜ子どもは「自分なりの表現」に陥ってしまうのか?
お子様が「わかっているのに書けない」状況は、単に知識が不足しているわけではありません。これは「わかっていることを相手に正しく伝える」というスキルが不足しているために起こります。
【教育心理学の観点から】 お子様が「自分なりの表現」をしてしまうのは、「メタ認知能力」の未熟さが原因の一つと考えられます。 メタ認知とは、「自分自身の思考や行動を客観的に見つめ、コントロールする能力」のこと。 つまり、「自分がどう理解しているか」を把握し、「相手にどう伝えれば理解してもらえるか」を考える力です。
お子様は、目の前の問題が「わかった!」と感じた瞬間に思考を止めてしまいがちです。「理解」したプロセスを客観的に見つめ直し、「この説明では相手には伝わらないかもしれない」と考えることが難しいのです。 特に、数学の途中式や社会の記述問題は、このメタ認知能力が問われます。 「どうしてその答えになったのか?」という思考の過程を他者(採点者)が理解できるように書くことが求められるからです。
【行動経済学の観点から】 行動経済学には「保有効果(Endowment Effect)」という概念があります。これは、自分が所有しているもの(この場合は「自分なりの理解」)を、客観的な価値以上に高く評価してしまう心理傾向のことです。
このことを比喩的にではありますが当てはめてみますと、お子様は、自分が苦労して得た「理解」や「ひらめき」を、非常に価値のあるものだと感じます。そのため、その理解を「自分なりの表現」で書くことに対し、無意識に満足してしまいます。 結果として、第三者から見て不完全な答案であっても、「これで十分伝わるだろう」と思い込んでしまうのです。
この「自分なりの表現」は、お家で保護者の方と話したり、学校の先生や私たちクラ・ゼミの教師と対話している時には問題になりにくいかもしれません。教師が質問で引き出したり、お子様の思考を補足したりできるからです。 しかし、答案という一発勝負のコミュニケーションにおいては、この「自分なりの表現」は致命的なミスにつながります。
★「自分なりの表現」から「正しく伝える表現」へ!具体的な解決策
この課題を克服するためには、お子様に「正しい表現」を教え込むだけでは不十分です。「自分なりの表現」の限界に気づき、主体的に「正しく伝える表現」を身につける仕組みが必要です。
1. 説明する練習をする(アウトプットの習慣化) 学習した内容を、保護者の方や兄弟姉妹に説明させる機会を設けてみましょう。 「今日の算数、どんなことを習った?」 「この問題、どうやって解いたの?」 といった問いかけは、お子様が自分の思考を整理し、言葉にする良い練習になります。説明が不十分な場合は、「どうしてそうなるのかな?」「誰にでもわかるように教えてくれる?」と優しく問いかけてみましょう。
2. 答案を「見直す」習慣をつける 答案を書き終えた後、すぐに見直しをさせる習慣をつけましょう。 この時、「ミスがないか確認してね」だけではなく、「先生が読んだ時に、この答えがなぜ正解かわかるか見てみよう」と、採点者の視点に立たせるのが効果的です。 この練習は、お子様のメタ認知能力を鍛え、「客観的に自分を見つめ直す」力を育みます。
3. 問題の意図を把握する(読解力・分析力の向上) 国語の記述問題や社会の資料問題など、そもそも「何を問われているか」を正確に読み解くことが重要です。 問題の要求を正確に捉えれば、おのずと解答に含めるべき要素が見えてくるため、「自分なりの表現」から脱却しやすくなります。
4. 質問を習慣化する わからないことをそのままにしない習慣をつけましょう。クラ・ゼミ静高前校の「個別学習会」では、教師が巡回し、お子様一人ひとりの進捗を確認する体制をとっていますが、お子様が自ら質問するだけでなく、教師側からも「ここ、大丈夫かな?」と積極的に声をかけることで、「わからないことがあれば質問していいんだ」という安心感を与え、学習を促進します。
「自分なりの表現」は、お子様の個性であり、素晴らしい才能です。 しかし、学力向上を目指す上では、その表現を「正しく伝える」ためのルールを学ぶ必要があります。
クラ・ゼミ静高前校は、お子様の個性を大切にしながら、将来の目標達成に必要な力を育むお手伝いをいたします。 無料体験授業も随時受け付けておりますので、ぜひ一度、お気軽にお問い合わせください。